ねぇ、恋ってなんだと思う?


えっ…あたし? ……そうね、恋っていうのはねぇ……、ええっと…。


エヘヘ、やっぱりわかんないや。言い出しっぺのくせに情けないね。


でもね、ひとつだけわかることがあるの。


恋って、“究極のわがまま”なんじゃないのかな。


少し前までのあたしなら、こんなこと言ったりはできなかっただろうなぁ。今だって、自分でも信じられないの。こんな気持ちになったこと、なかったんだもん。


初めて会ったとき、偉そうにしてえばり散らして、文句ばっかり言って。なんて嫌な人なんだとしか思ってなかったのに。


そんな理介さんがあたしに初めて笑ってくれて、お詫びにあたしを食事に誘ってくれて。とっても嬉しかった。あのとき、せっかく2人っきりだったのに。今から思えば、すごくもったいないことになっちゃったよね。


そうだ。きっとあのときよ。なにが?…って、もう! そんなこと言わせようとしないでよ。恥ずかしいじゃないの。


原稿に向かう理介さんも、ピコピコハンマーを握る理介さんも、犬が嫌いな理介さんも、お酒をすする理介さんも…。みんなみんな、大好きなの。


あたし、友子さんみたいに素敵な女性になれるかな? 理介さんと友子さんが別れてかなり経ったけど、思い出すたびに複雑な気持ち。こういうの、ヤキモチっていうんだよね。


ずるいよ。あたしにとっては初めて好きになった人なのに、理介さんには何人もいるんでしょ? そりゃ、全部昔のことだってわかってるわよ。でも、考えちゃうの。こんなこと理介さんに話したら、きっと怒られちゃう。


だけど、怒られてもいい。だってそれは、理介さんのことがそれだけ好きだっていうことなんだから。


いつもペンを握るその手で、あたしの頬に触れて、ハイライトをゆらすその唇で…。いやだ、あたしったら何言ってんのよ…。


そういえば、最初のうちは恥ずかしくてバリケードを立てたこともあったけど、一緒に同じ布団で寝るのってすごく気持ちがいいのよ。


布団に入ったばかりのときは寒いかもしれないけど、理介さんに抱きすくめられていると、1人で布団にいるときよりも早くあったかくなって…。理介さんの温もりをひとりじめできるこのときが、ずっとずっと続けばいいな。っていうほど幸せな気分になるの。


そうそう。布団といえば、たまにあたしに優しくしてくれる理介さんも、とっても素敵なんだ。あたしの……ち、ちょっと!! それだけは絶対に教えないんだから!


だけど、もうとにかく今は、幸せすぎてあたし、どうにかなっちゃいそう。


お母ちゃんも先生も、みんな、本当にありがとう。あたし、理介さんともっともっと幸せになります。そして早く、理介さんとのかわいい子供も出来ればいいな。



あっ! 理介さんが帰ってきたみたい。


あたしが今まで言ったこと、絶対に理介さんには内緒よ? もししゃべったりなんかしたら、ただじゃおかないよ?




2011/04/18






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