「何やってんだよこのバカ!」

 ほんの小さなことでも、すぐに頭ごなしにガミガミうるさいし、

「オレはなあ、朝は新聞読まないと目が覚めねえんだよ!」

 見かけの割りに、なんだか繊細…というよりも、神経質だし、

 それよりなにより、

「一回言ったらちゃんと覚えておけ!」

 気が短いときているんだから、たった一人いるだけで毎日のように騒がしい。

 なのにそのくせ、

「そんなことで動物園のサルみたいにギャーギャー騒ぐな!」

 自分が言えたことかな…としか思えない。

 初めて会ったばかりの頃は、なんて、嫌な人なんだろうとしか思っていなかった。

 そう。あたしは、嫌いだった。最初は、この人が、この家を壊した原因の一つなんじゃないかとも思ったくらい。

 いつか、この人の鼻を明かしてやろう。そんなことばかり考えていた……それなのに。

 無神経に見えるけど、本当は優しくて、あたしたちのことを、いつもちゃんと思っていてくれる…。理介さんは、本当はとっても、素敵…とはいかないんだけど、優しくて。

 それは…、気は短いしうるさいし、本当はあたしのことが嫌いなんじゃないかって疑うこともしょっちゅう。たまに、ケンカが過ぎて口をきかなくなったりもするけど…。

 あの頃から考えたら、信じられないことばかり。

 あたしはそんな理介さんが、どうして好きになったのかなぁ…。




2013/09/15






玉ねぎむいたら…のトップへ戻る ノベルコーナートップへ戻る ワンナイト・オペレッタのトップへ戻る