塾の夏期講習で忙しかったまことの夏休みも終わり、いよいよ2学期が始まる。

 2学期は受験生にとっては正念場。朋美も、さすがにまことにばかり付き合ってはいられない。

「まことくん、まだ寝てるのかしら…」
 朋美はいつものようにまことの家まで迎えに来たが、まだまことの部屋のカーテンは閉まっている。
 昨晩は、夏休みの宿題を終えるため、朋美も遅くまで付き合っていた。夏期講習と夏休みの宿題に追われ、まことはクタクタに疲れていたのだった。

 とりあえず朋美は、チャイムを鳴らす。しかし、数秒経ったが、返事はない。
「どうしたんだろう…。こんな時間に誰もいないなんて」
 家の中からも何も聞こえてこない。異様な空気が、辺りを包んでいた。

 とりあえず、朋美は一度学校に向かうことにした。

 色々な考えを巡らせながら、朋美は学校に到着した。何事もなければいいと思いながらも、不安になっていた。

 まだ時間が早かったため、ほとんど誰もおらず、朋美が一番乗りかと思われた。しかし、下駄箱には一足だけ靴が置かれていた。それは、まことの靴だったのである。
 それを見た朋美は、当然驚かずにはいられなかった。

 急いで階段を駆け上り、教室に到着した朋美の目に映りこんだのは、眠っているまことの姿だった。
 慌てて朋美は、まことの元へ駆け寄った。
「まことくん!どうしたの!?家にいなかったから心配したのよ!」
 本気で心配をしている朋美をよそに、まことはのん気に眠い目を擦りながら目を覚ました。
「んー…。あれ?トモちゃん、遅いじゃないか」
「『遅いじゃないか』じゃないわよ!誰も家にいないから本気で心配したのに…」

 まことから事情を聞き、朋美は安堵する。
 実はまことの両親は旅行に出かけており、姉も知人の家に泊まっているということなのだった。
「何だ…。そうだったの。何か事件に巻き込まれたんじゃないのかと心配したのよ」
「ごめんね。親父がオレが寝坊して遅刻しないようにって、おふくろと2人で学校まで送ってくれたんだよ」
「でも、そういうことなら、どうしてあたしに何も連絡してくれなかったの?」
 確かに、ほぼ毎朝迎えに来ている朋美がいるのに、前もって朋美に何も知らせないのはおかしい。
「さあね。オレも直前まで何も知らなかったんだよ。気づいたら朝の5時とかで、そんな時間に電話するのも迷惑だと思って」
「それもそうだけど、おかしな話ね…」
「そうだろ?」
 朋美は、まことの話を疑うということは、全くしようともしなかった。

 その日の授業が始まってすぐ、ことの真相は明らかになった。

「おい坂口、お父さんから連絡があったぞ。一体何があったんだ?」
 先生の言葉に、まことは戸惑いながら口を開いた。
「そ、それは…」
「まあ、ちょっと来なさい」
「はーい…」
 まことがとぼとぼと教室を出て行き、周りがざわめき始める。
「まことくんのお父さん、旅行に行ったんじゃなかったのかしら…」
 朋美は




2009/10/16






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