「ねえ二人とも、最近の内木さんって恰好良くなったと思わない?」
 思いがけないエリのひと言に、さやかとほたるは「え?」と思わず顔を見合わせた。

「この前のテストも満点だったし、さっきの算数の時間も、先生に当てられても黒板の問題をすらすら解いてたじゃない?」
「う、うん…」
 困惑したように、さやかは返事をする。

「それに、今だって難しそうな本を読んでるの、すごいと思わない?」
「確かに、そうだけど…」
 さやかと同様に、ほたるも少々返事に困ってしまっていた。
 確かに休み時間の今でも、内木は自分の席で厚みのある本を真面目な顔で読んでいる。さやかとほたるの二人も、エリと同様にあまり読書に打ち込むほうではないので、そこは素直にすごいと思えた。

「でも昨日の体育の授業、とび箱飛べなかったじゃない」
「そんな完璧じゃないところも、また素敵なんじゃないの…」
 さやかの水をさすような発言にも、エリはまったく嫌な顔をせずにうっとりしていた。

「エリちゃん、どうしたの? さっきから内木くんのことばかり…」
「だってここ最近内木さん、前にも増して素敵になったんだもの…」
 ほたるの問いかけにも、エリは焦点の合わないとろんとした眼差しで答えた。
 さやかとほたるは、目を丸くして顔を見合わせる。そして、さやかは「やれやれ」と手のひらを返し、ほたるはクスクスと小さく笑った。

「エリちゃん、本当に内木くんのこと好きなのね」
「あーあ、やってられないわ」
 二人のぼやきもまったく耳に入っていないエリは、幸せそうに内木へ視線を送りながら、深くため息をこぼすのだった。




2025/3/3






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